控除対象外消費税と繰延消費税の取り扱いについて
この控除対象外消費税とは
1.税抜経理を採用していること。
2.課税売上割合が95%未満であること又は課税売上高が5億円超であること。
以上の要件により仮払消費税のうち仮受消費税から控除できなかった部分の金額をいいます。
具体的に事例で説明しましょう。
・仮受消費税 160万円
・仮払消費税 100万円
・課税売上割合 90%
このような場合には控除できる仮払消費税は100万円×90%=90万円となり残りの10万円は仕入税額控除できずに租税公課として処理することになります。
(仮受消費税)160万円 / (仮払消費税)90万円
/ (未払消費税)70万円
(租税公課) 10万円 / (仮払消費税)10万円
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【控除対象外消費税】
ご理解いただけたでしょうか。
しかし、ここで気をつけて頂きたいことがあります。
忘れがちな部分ですが法人が租税公課として振替えた金額の中に交際費の額に対応する金額がある場合には交際費の支出金額として損金不算入額の計算上考慮する必要が生じます。交際費の額が限度額を超えていない法人や個人事業主には影響はありません。
では、次からが本題となります。
1.税抜経理を採用している。
2.課税売上割合が80%未満である。
3.棚卸資産以外の資産に係る控除対象外消費税で一の資産に係る金額が20万円以上のものがある。
この全てを満たす場合には、控除対象外消費税の取扱いは前述とは異
なり5年間(60ヶ月)で経費に計上することとされています。
仮に控除対象外消費税が20万円であったとすると
1年目 20万円×12/60×1/2= 2万円
2~5年目 20万円×12/60 = 4万円
6年目 20万円-2万円-4万円×4= 2万円
となります。
最初の年は1/2というのがミソです。
そして数年にわたって配分するため繰延消費税額とよばれています。
私も30年近くこの仕事に携わっていますが繰延消費税の計算は過去に数回行ったのみです。
しかし、条件に当てはまった場合には必ず必要な処理であり任意なものではないためミスをしないように是非覚えておいてください。
そして、控除対象外消費税についても以前では法人税の交際費の損金不算入の計算に定額限度額以下でも1割加算などの調整がされ、法人税の所得金額に影響を及ぼしていました。今後、また同様の計算に改正があるとも限りません。
消費税の簡易課税制度のみなし仕入率の見直し
消費税の計算において、ある課税期間の基準期間(原則は個人が前々年、 法人が前々期)の課税売上高が5,000万円以下の消費税の課税事業者 については、その課税期間において簡易課税制度を選択適用することが できます。
消費税の簡易課税制度は、課税売上高に係る消費税額にみなし仕入率を 乗じ、控除対象仕入税額を計算するものです。
小規模事業者のために、消費税の本則課税制度で指摘される事務負担の 軽減を目的として設けられた制度です。
みなし仕入率
消費税簡易課税制度におけるみなし仕入率は、事業の種類に応じて次の 通りとなっております。
(事業区分)/(該当事業)/(みなし仕入率)
第1種事業/卸売業/90%
第2種事業/小売業/80%
第3種事業/製造業等/70%
第4種事業/飲食業、金融・保険業(第1,2,3,5種以外の事業)/60%
第5種事業/不動産・運輸通信・サービス業(飲食業を除く)/50%
上記のみなし仕入率ですが、会計検査院から突っ込みが入りました。 「実際における仕入率との乖離が大きい事業がある」との指摘で、一部の 事業について、事業区分とみなし仕入率が見直されることになります。
見直し後の事業区分とみなし仕入率
事業区分については、1.「金融・保険業」を現行の第4種から第5種に変更 する、2.「不動産業」を現行の第5種から(新設の)第6種に変更する、と 云う見直しがなされます。 そして、新設される第6種のみなし仕入率は、40%とされます。 第1,2,3種に変更はありませんので、第4種以下が下記のようになります。
(事業区分)/(該当事業)/(みなし仕入率)
第4種事業/飲食業、金融・保険業(第1,2,3,5,6種以外の事業)/60%
第5種事業/不動産・運輸通信・サービス業(飲食業を除く)/50%
第6種事業/不動産業/40%
この見直し後のみなし仕入率は、平成27年4月1日以降に開始する課税期間 から適用されることになるようです。
消費税につきましては、今年4月から税率が8%となります。
更に平成27年10月には税率が10%となることが予定されています。
届出関係も所得税、法人税と異質なものが多く、何かと頭を悩ませる税目です。