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節税と会社の目標

「お⾦が出て⾏く節税」なのか、「お⾦が出て⾏かない節税」なのか、「課税の繰延」なのか、「永久免税」なのかをきちんと整理付けていただきたいと思います。

 

お⾦ばかり出ていく偏った節税をしていると、会社にお⾦が残らず節税による資⾦流出が原因でいざというときに運転資⾦が⾜らない!という本末転倒もあり得ます。

これではいつまで経っても会社は成⻑しません。

会社の⽬標は、語弊があるかもしれませんが、「通帳の預⾦残⾼を増やし続けること」だと思います。

もちろん理念、個別⽬標となれば「社会貢献のため」「従業員の幸せのため」「家族のため」など様々でしょうが、どの⽬標もお⾦がないことには達成できませんよね?

だから、節税のためだけに、会社のお⾦を無駄使いするようなことはしないで下さい!

 

 

主張したいのは「計画的に、上⼿に節税する」ということです。そのためには下記の「節税の基本の4 項⽬」はしっかり押さえて理解しておいて下さい。

 

(1)経費として計上できるものをすべてきっちり計上する。

(2)有利な選択・届出をきっちり⾏う

(⻘⾊届け等の基本的な税務⼿続きを全て⾏っている)。

(3)所得分散をきっちり⾏う(社⻑の給料は適正額を取っている)。

(4)政策で認められている税制優遇制度をきっちり活⽤する。

 

 

上⼿に節税できるかどうかは、こうしたことの経営者の⽇ごろの⼼がけにかかっています。普段の⼼がけもなく「さあ決算を迎えて節税だ〜!」と意気込んだところで、付け焼刃でできる節税策はほとんどありません。あったとしてもその効果は期待できませんね。

 

税理⼠に丸投げだ、という⽅も決して万全ではありません。「数字は苦⼿なんで…」という経営者が⾮常に多いですが、経営者⾃⾝が数字で会社の経営状況を理解しておくことが、会社の成⻑には⽋かせません。

 

何も簿記・会計・税法を勉強してください、と⾔っているわけではありません。もちろんそれらは理解しているにこしたことはありませんが、経営者にそんな時間的余裕もないでしょう。あったとしてもその必要もありません。

 

ただ、⾃社の経営成績と財務状況は、必ず経営者⾃⾝がタイムリーに把握しておく必要があります。経営者がどんぶり勘定では、仮に税理⼠に丸投げしていたとしても、上⼿な節税はできません。また、今後の会社の成⻑も頭打ちになるどころか、⾃社の財務状況を把握してなかったばっかりに、たった⼀つの判断ミスにより、倒産や廃業に追い込まれるリスクも⽣じます!

 

「数字の勉強」と難しく構えずに、「⾃社の通信簿をつける」くらいの感覚だと、とっつきやすいかもしれません。疑問に思うことは、とことん顧問税理⼠に聞き、絶対に⾃社の状況を数字で把握できるようになっていただきたいと思います。

IVお⾦の出ない節税+永久免税

ここの項⽬をいかに上⼿に活⽤できるかが、⼤きなポイントです。

 

詳細は次回に譲りますが、各種税額控除制度の有効活⽤、不良資産の除却や売却による損出し、少額交際費の活⽤、資本⾦額の検討、消費税課税⽅法の有利⽅法の検討、繰越⽋損⾦の有効活⽤ などは、節税のために別途⽀出をするわけではない、是⾮とも検討、ご活⽤いただきたい有効な永久節税対策であるといえます。どれも⽐較的⾝近で⼿軽なものです。

 

ここでは、少し特殊な視点から、ともにハードルは⾼いが実現可能ならば、効果の⾼い2 つのものを例として取り上げてみました。

 

(1)雇⽤契約から業務委託契約へ!

会社の従業員で、雇⽤契約から業務委託契約に変えてしまいましょう!要は社員からアウトソーシングにしてしまおう、ということです。そうした場合、その従業員の⽴場は『安定した⽴場の社員』から『フリーランス』と変わります。

 

「無茶を⾔うな」とおっしゃられるかもしれませんが、可能であるならば、かなり⼤きい節税効果を得られます!
まず消費税が節税できます。給料は消費税を控除できませんが、外注費は消費税を控除できるのです。また、業種によっては給料から天引きしていた源泉所得税を、会社側で源泉徴収する必要がなくなる場合もあります。
もちろん、実質は何も変えないで、カタチ(形式)だけ変えるのはダメです。実質を変えなきゃいけないので、「フリーランス」という⽴場を本⼈が嫌がればアウトです。

 

 

(2)1 ⼈オーナー会社の増税を合法的に回避

〜特殊⽀配同族会社の業務主宰役員給与の損⾦不算⼊(法⼈税法35 条)〜
タイトルを⾒る限り、何やら難しそうな法律名がついていますが、簡単に⾔いますと、平成18 年の会社法改正により会社の設⽴が容易になり、個⼈事業者がどんどん法⼈成りし、所得分散による⼤幅な税収減を危惧した霞が関の⾼級官僚が考えたトンデモナイ法律!なのですが、実質1 ⼈オーナー会社の給与(役員報酬)の⼀部を損⾦に認めない、という税制が平成18 年に制定されました。

 

しかし、この税制はあくまで⼀⼈オーナー会社が対象なので、「役員」と「株主」の構成を変えることで、この⼤増税を回避できる可能性があります。
この増税の対象となる会社には条件が定められています。

 

①代表者(とその親族も含む)が会社の株の90% 以上所有していること

かつ

②会社で働く常勤役員のうち、代表者及びその親族の占める⼈数が50% 超であること

 

上記の①と②の増税条件は、両⽅を同時に満たす場合に対象となりますから、裏を返して考えるとどちらかだけでも条件から外れれば、増税対象にはならないとうことになります。

 

①の条件を外す⽅法
信頼できる他の⽅に、株式を11% 以上持ってもらう!
(親族は駄⽬です。適任者が少ないのでムズカシイ!)

 

②の条件を外す⽅法
社⻑1 ⼈で経営している場合には、外しようがありません…。
社⻑1 ⼈、従業員(親族を除く)2 ⼈で経営を予定している場合は、従業員を役員に昇格させて、役員の⼈数の分⺟を増やすことで、代表者及びその家族が占める割合を50% 以下に出来ます。(この場合、3 分の1 になる)

 

もちろん、これも形式的な対応だけでは租税回避と⾒なされますのでご注意を!
株を⾚の他⼈に持ってもらうということは、経営に⼝出しできる権利を与えてしまい、さらには多額の配当も要求されかねず、その分リスクは多いのです!
注:この制度は廃⽌され、平成22 年4 ⽉以降開始する事業年度からは適⽤されないこととなりました。税理⼠会などもも強く反発していました。当然のことだと思います。

IIIお⾦の出ない節税+課税の繰延

この⽅法もたくさんあります。I に次いで豊富です。

 

例として、前述した「減価償却」を例にして⾒てみましょう。
減価償却とは、お⾦の流れは無視して、資産の取得価額を基に、資産ごとの耐⽤年数で費⽤化していく⽅法でしたね。

 

この減価償却の⽅法は、主に「定額法」と「定率法」というのがあるのですが、事前に税務署に届出を提出し、承認を得ることで、償却⽅法を変更することができるのです。

 

個⼈事業者の場合は、何も事前に届出を提出していなかったら、減価償却の⽅法は「定額法」でしなくてはいけません。

 

これを「定率法」に変えてしまえば、初年度に償却できる⾦額はグッと増えます。
でも「定率法」は、初年度にたくさん償却でき、後になるほど償却額が減っていくという性質なので、初年度の節税効果は⾼いですが、後になるほど逆に税⾦は増えてしまいます。

 

III の⽅法はこのように、有利な制度を選択して、収⼊を先送りに、経費を先取りする、というものが多いです。
もちろん⻑い⽬で⾒た場合、負担する税⾦の⾦額は同じなります。

 

しかし、経営には「⻑い⽬」で⾒る余裕がない場合が多いですよね。⽬先の資⾦繰りを少しでもラクにするために、「課税の繰延」は、場合によっては⾮常に重要な役割を果たします。

また、「⻑い⽬」で⾒てる間に税制改正があったりして、その節税⽅法はダメ!となってしまう可能性もありますしね。

IIお⾦の出る節税+永久免税

これは意外と⽅法が限られています。
分かりやすい例では、前述した「⼩規模企業共済」があります。この商品の本来の意図は、⼩規模で事業を営む個⼈事業者または会社役員の退職⾦の積み⽴てで、中⼩企業庁お墨付きの⾦融商品です。

 

魅⼒的な点は、なんと⾔っても「掛け⾦が経費になる(厳密には個⼈の“ 所得控除” といいます)」ことです。つまり、退職⾦の積⽴をしながら、節税ができるのです!

 

65 歳まで掛け続けた場合、元本割れの可能性は現状ではありません(あくまで「今のところ」です。今後は保証できません)。

 

つまり解約時(退職時)までの節税効果分を「運⽤益」と考えることができるので、元本割れの可能性がない分、株式や債券・為替などの⾦融商品と⽐べると、こんなにすぐれた⾦融商品はないでしょう(繰り返しますが、「今のところ」です…。)!

 

しかも⼩規模企業共済は、65 歳以上での解約時は“ 退職⾦扱い” になるのです。現状の⽇本の税制では、退職⾦にかかる税⾦は⾮常に優遇されており、無税となる場合もあり得ます。

 

つまり、掛け⾦で節税でき、解約時も(ほとんど)無税ということなので、「永久免税」と⾔える商品なのです。

 

注意点としては、65 歳未満での解約は退職⾦扱いにならず⼀時所得となり、課税の対象になります。また、将来は退職⾦税制が厳しくなる可能性もあります。そうなるとこの商品のメリットは激減します。
※退職⾦を⼀番たくさんもらっているのは⾼級官僚ですので、そこはすぐには⼿を付けづらい改正でしょうか…?

Iお⾦の出る節税+課税の繰延

最もポピュラーな⽅法で、たくさんの⽅法があります。

 

例えば従業員賞与の前倒し⽀給(決算賞与)ほか、その他経費の前倒しの⽀出(消耗品等)などが該当します。
単純に翌期⽀出予定のものを前倒しに当期に⽀出した、というだけです。

 

近い将来どちらにせよ必要があるものならば、当期に先取りしてしまおうということです。
※事業に使っていなければ、在庫になります。念のため。翌期(以降)はその分経費が減るので、税⾦は増えます。当期の税⾦を翌期(以降)に繰り延べただけのことです。

節税方法の種類

既述した節税の4 つの基本を踏まえた上で、今度は「節税⽅法の種類」についてご説明します。

 

前述の通り、節税⽅法には「お⾦を使う節税」「お⾦を使わない節税」があります。また、この双⽅の節税⽅法にはそれぞれ「課税の繰延」に過ぎないものと課税の繰延でない「永久免税」になるものがあります。

実は節税対策には「課税の繰延」が⾮常に多いのです。

上⼿な節税というのはどんな⽅法だと思いますか?

もちろん、「お⾦を使わない節税」で、かつ「永久免税」となる⽅法ですね!

詳しいことは次回以降で明らかにしていきたいと思いますが、次回に進む前にあらかじめイメージを持っていただきたいので、下図をご覧下さい。箱図で節税⽅法を種類分けしてみました。

 

節税対策 お金の出る節税 課税の繰延 I
永久免税 II
お金の出ない節税 課税の繰越 III
永久免税 IV

 

 

↑繰

III I
IV II
流 出 →

 

 

次回では解説する各節税策の⾒出しに、その節税策が、どの種類に該当するのか記しておきますので、このイメージを持った上で、読み進んで下さい。

社⻑⾃⾝で節税意識を!

よく、会社を設⽴したばかりの社⻑は、事業を軌道に乗せるのに精⼀杯で、最初は経理や税⾦対策のことなんて念頭にありません。

 

そして、バタバタのうちに第1 期⽬の申告期限が近づき、慌てて税理⼠を探して…、というパターンも⾒受けられます。

それならまだましなのですが、はなっから申告期限のことなど念頭にはなく、いざ銀⾏融資を受けたいときに、融資担当者に申告書を提⽰しろと⾔われ、慌てて税理⼠に申告の依頼をする(もちろん申告期限後に!)、というケースもあります…。

 

税務署に無申告を指摘されて、という場合や、顧問料をケチって税理⼠に依頼しないなんて場合も…。こんな状態では「計画的に節税する」以前の問題です。顧問料をケチった分以上に、税務署にごっそり税⾦を持っていかれてしまうのがオチです。

 

「ウチは全て会計事務所に任しているから、そんな⼼配はない。」
そう思われている⽅も多いでしょう。でも、それでもまだ万全ではありません。
節税対策は、経営者⾃⾝でも意識を強く持ってほしいのです。税理⼠に丸投げでは不⼗分です。⾃⾝でも意識を強く持っていただければ効果100 倍となるのです!

 

節税対策は今後の事業展開やビジョンによって、施すべき⼿段が全く変わってきます。税理⼠は、社⻑のお⼿伝いはできても、社⻑の頭の中まではのぞけません。

 

社⻑が「節税脳」を働かせ、その上で税理⼠に相談をする⽅がよほど効果的なのです!
X社⻑:「来期、利益が結構出そうやねん。センセイ、なんかいい案ありまへんか?」
Y社⻑:「来期はカクカクシカジカの営業戦略で展開したいんだけど、その結果、これぐらい利益が出そうな⾒込みなんだよ。その際に設備投資と⼈材育成が必要なんだが、これらを活かした良い節税戦略はないかな?」

どちらの相談事例が税理⼠の良い回答を期待できます?答えは⾔うまでもなく、Y社⻑さんですよね!

 

「なんかいい案」と⾔われましても…、よほど付き合いが⻑く経営にまで⼊り込んでいるならばともかく、本書「節税対策マニュアルを買って下さい」と⾔うしかないですね…(笑)

節税4:優遇税制をきっちり活⽤する

政策で勧めてくれている節税商品というのがあります。

そんなに数は多くないですが、これらを利⽤しない⼿はありません。

 

例えば、有名なものでは、中⼩企業庁公認の⾦融商品『⼩規模企業共済』というものがあります。
節税商品としてはとても有名なモノなのですが、税理⼠に関与をお願いしていない社⻑(個⼈事業主)は意外とご存じないのです!
また、中⼩企業及び個⼈事業主に限定された優遇税制も数多く存在しています。例えば昨今の税制改正では、中⼩企業限定で、法⼈税率の引き下げや、交際費の限度額の上限アップ及び⽋損⾦の繰戻還付制度の復活などがありました。
とは⾔え、まだまだ中⼩企業の実情を分かってくれていない税制も数多く残っていますが…。
これらのように、世の中の実情に合わせて(?)税制は毎年⽬まぐるしく改正されています。
税理⼠に顧問を依頼していないような会社は、とてもこれらの改正について⾏けず、⽿にしたころにはその税制が廃⽌済み!なんて事態もあり得ます。

 

⾃社に有利な優遇税制は、積極的に利⽤していきましょう!

節税3:所得分散をきっちり行う

⽇本の税制は累進課税制度を採⽤しており、⼀つの⺟体(法⼈または個⼈)に利益が集まるほど、段階的に税率が⾼くなる、という特性があります。
特に個⼈の税率は、所得税と住⺠税を合わせて最⼤で50% にもなります。法⼈のそれは40% ほどです。

たとえば、会社に利益が1 千万円出たとして、社⻑が会社から給料を取っていない場合(そんなことは考えにくいですが、極端な例として)は、1 千万円に対して400 万円の税額(税率40%)ですが、給料を500 万円取った場合は、法⼈税200 万円・所得税30 万円(所得税・住⺠税合わせた税率20%。さらに個⼈には様々な「所得控除」というのがあり、単純に給料500万に税率をかけた税額ではありません)ほどで、法⼈個⼈合わせても230 万円ほどの納税で済みます。
これだけでも170 万円の節税です!

 

この例はかなり極端でしたが、実際にはもっと社⻑が給料を取って、法⼈税を少なくする⽅が良いですね。
「ウチは個⼈事業だから、給料としてはとれないよ(涙)」
諦めないでください。もし奥様などの親族と⼀緒に働いておられたら専従者給与が出せます。
「適正」な⾦額を出し、所得分散して節税しましょう!
中⼩零細の同族会社では、経営者イコール株主というケースが⼤半です。つまり⾃分の給料は⾃分で決められる、ということですが、給料(役員報酬)の決め⽅がいい加減なところも⾒受けられます。
このように、利益(収⼊)の⺟体を分散させ、それぞれの⺟体の利益を少なく(所得分散)し、税率を低く抑えることが、節税の基本中の基本なのです。

節税2:有利な選択・届出をきっちり行う

例えば「⻘⾊申告承認申請届」「⻘⾊専従者給与の届け」、状況に応じて「減価償却⽅法選定の届け」や「簡易課税選択届け」などがあります。
また地⽅⾃治体には創業促進⽬的のものなど、時限的な減税制度を設けているところもあります。
⼀般的に、税理⼠が関与している場合でしたら、これらの書類の提出失念ということは考えづらいですが、事前に期限までに⼿続きしておく必要があるため、決算(申告)前になってはじめて税理⼠に顧問をお願いするということでは間に合わない、というケースも多いのです。

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