利益と資⾦の関係について
キャッシュ(現⾦)の確保と管理こそが肝⼼です!
前述の利益計算についてですが、注意点がございます。
よくある勘違いで、「経費を増やす=お⾦を使う」ことさえすれば、利益が減り節税できる、と思われている場合が多いのです。
また、決算期末時点で資⾦残⾼がほとんどない状態で、「うちはお⾦が残っていないから、税⾦とは無縁だろう」と思われているケースもそうなのですが、まず「お⾦を使いさえすれば経費になる」という勘違いがあります。
お⾦を使ったからといっても、それが設備投資であったり、仕⼊の前倒しであったりでは、それらは全額「経費」にはなりません。
設備投資による⽀出は⼀時の費⽤にはできません。設備投資⾦額を税法で定められた耐⽤年数(例えば⾞であれば6 年など)で割った分だけが「減価償却費」という形で経費になるのです。
また、商品の仕⼊についても、それが期末に在庫として残るのであれば経費にはなりません
(消費税は節税になりますが=仕⼊税額控除できる)。
つまり設備投資と在庫投資を多額に⾏った結果、資⾦は⼤幅に減ったわけですが、それらのほとんどは「資⾦」から「資産」に代わっただけで「経費」にはならないため、決算書は⼤きな「⿊字」となっています。資⾦がない上に多額の税⾦の納税に迫られてしまいます。
納税だけでなく、毎⽉の⽀払(仕⼊代⾦や⼈件費・家賃などの固定費)さえ苦しくなってしまいました。
こんな折に⼩切⼿や⼿形が不渡りになってしまえば、倒産に追い込まれてしまいます!
以上が「黒字倒産」の正体です。いわゆる「勘定あって銭⾜らず」という状態から起こる結果です。
節税のためだけに「無駄使い」はしてほしくありません。上記のような「無駄使いが経費にならなかった!」場合や「⿊字倒産」を危惧する、という理由だけではなく、そもそも「無駄使い」⾃体が税務署には「経済的合理性のない⾏為」だと⾒なされてしまいます。
そうなのです。仮に会社の資⾦からの⽀出であっても、事業に必要のない(関係のない)⽀出は、その経費性すら否認されてしまうのです。
また「うちはお⾦がない会社だから税⾦とは無縁だ」とも思い込まないで下さい。
繰り返しますが、お⾦がなければ税⾦は出ない、という考え⽅は間違っています。必ず試算表から利益をタイムリーに把握し、事前に節税策を講じ、納税資⾦を準備しておいて下さい。
基本的なことですが、やはり「資⾦」と「利益」を勘違いされている経営者も多く⾒受けられますので、あえてここで解説しました。
・2015年7月13日 配信
« 節税の仕組みと脱税について|| 無駄遣いによる節税は本末転倒 »